失恋・人間関係・仕事上でのトラブル…など嫌なこと・失敗した経験というものは、なかなか忘れたくても忘れられないもの。誰もが一つぐらい記憶に残る嫌なことがあるのではないでしょうか。
では、その「嫌な記憶」から人間はどのように向き合い、立ち直っていくのでしょうか。
または、現在、嫌なことの真っただ中という人もいるかもしれません。
そういう人たちはどのように立ち直ればいいのか、過去の記憶に縛られてしまい自由に行動できなくなってしまう前に、嫌なことから開放されるための方法について探っていきたいと思います。
そこには、人間の記憶にメカニズムを利用すれば、嫌なことを忘れて前向きになる方法があるのです。紹介したいと思います。
なぜ嫌な記憶は忘れにくいのか?
「彼氏にフラれた…失恋をした…」「上司に怒られた…」「友達の前で恥をかいた…」など、嫌な記憶であればあるほど忘れにくいもの。一般的に、嫌なことは記憶に残りやすいと言われています。
でも、なぜでしょうか?
「強い印象」を伴うため
悲しい出来事や辛い出来事というのは「強い印象」を伴います。このような出来事は、「ワーキングメモリー」という短期記憶で保存された後に、ほとんどの場合、長期記憶として定着するのです。
防衛本能のため
人間には防衛本能が備わっています。
例えば、大昔、まだ人間が狩猟をして生きていた時代で考えてみましょう。A地点という場所に狩猟に行くと獣に襲われたとします。その失敗した経験が記憶に残り、次はA地点は辞めてB地点に狩猟に行くようにします。
嫌な記憶を残すことで同じミスをしないようにするためにも、人間の本能である防衛本能が働き、生きていくために必要だったのです。現代でも、上司にミスをして怒られたら、次、同じミスを繰り返さないようにして怒られないようにするのもそうですね。
納得していないため
納得していないことというのは、失敗した後も何度も何度も脳内で反復しながら考えてしまいます。この何度も思い返すことで記憶として定着してしまうのです。
自分で納得した嫌な記憶よりも、理不尽な出来事や身に覚えがない出来事などの方が嫌な記憶として定着しやすいのは、そのためです。
記憶のメカニズム
人間の記憶のメカニズムとはどのようになっているのでしょうか。
記憶にはすぐに消える「短期記憶」と、長く記憶にとどめておく「長期記憶」があります。
新しい情報が頭にインプットされたとします。その情報はまず短期記憶として記憶されます。ただし、短期記憶というのは一時的に情報を保存するだけで、しかも容量が小さいのです。
そこで、脳は重要な情報だけを「大脳皮質」という長期的な記憶をする器官へと運ぶわけです。この大脳皮質に保管された情報は、何年も記憶として残ることになります。
つまり、日々、僕たちが見たこと・経験したこと・学んだことなどの大量の情報はまず海馬に集まって短期記憶として残ります。この海馬で、その情報が必要か不必要かの選別が行われ、そして、必要なものだけが長期記憶として保管されるという流れなのです。
嫌な記憶とは“上書き保存”でおさらばー!
嫌な記憶を引きづらないための方法としてオススメなのが、嫌な忘れたい出来事として記憶に残っていることは、似たような状況で新たに「楽しい」という感情を抱く経験すして、嫌な出来事を忘れる、または薄めるというものです。
記憶は上書きされます。その現象を「干渉」と言います。大切な情報がいくつも入ってくる環境の中にいると、前の記憶を消してしまう現象が起きるのです。
上記でも書きましたが人間の記憶というのは、失敗した嫌な経験ほど記憶として残りやすいと言われています。だから、これまでは楽しい出来事で嫌な出来事を消すことは難しいと考えられていました。
ただ、最近の研究ではそうとも言い切れないという研究結果があるのです。それは、嫌な記憶を忘れるためにはそれに上書きできる「新しい記憶」それもハッピーになれる記憶が必要ということです。
はじめは再挑戦しようと思うと、以前の嫌なネガティブな記憶を思い出してしまい、躊躇してしまうかもしれません。ですが、嫌な思い出は楽しい思い出に塗り替えることが出来ると知っていれば、積極的に取り組んでいくことができるはずです。
最後に
嫌な記憶というのは残りやすいもの。言ってしまえば、忘れることは不可能に近いのかもしれません。大切なのは、その失敗をどのように活かすか、ということです。
そのためには、厳しいかもしれませんが行動が必要です。行動することで、失敗した嫌な出来事も楽しい出来事に変えられるのです。
逆を言えば、いつまでも嫌な記憶を引きずっているということは、新しいことをあまりやっていないのかもしれません。それが嫌な記憶に囚われている状態ですね。
むずかしいことを 考え過ぎると、また動けなくなり引きずってしまいます。まずは「きっとうまくいく」ぐらいの気持ちで取り組んでもいいかもしれません。