「社会人になったらキャリアプランを立てよう!」「キャリアアップを目指せ!」と就職活動で教わったり、入社後に上司から言われたことはありませんか。
その[「キャリアプラン」や「キャリアアップ」とやらは、どう立てればいいのでしょうか。
どうも、ねこひげ先生(@dr_catwhisker)です。
今回は『計画的偶発性理論でキャリアップを目指そう!』というお話です。キャリアプランを立てるときのヒントにしてみてください。
目次
AIに仕事が奪われる時代…?
2014年、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が発表した論文が話題になりましたね。それが「10年後、今ある職種の半分が消えてなくなる」というものでした。
理由はコンピュータの発達による自動化(AIロボット化)が急激に進み、人間が必要なくなってしまうとのこと。(参考文献)
たとえば銀行窓口やデータ入力、運転手、販売員などの仕事が10年後には衰退しているのではないかと考えられています。
なかなか衝撃な話題だったので各メディアでも取り上げられて話題になりましたね。人はネガティブなことに反応しやすいので「仕事がなくなる……」という危機感をあおる話題に飛びついたものだと思われます。
現在、実際にAIやロボット、RPAなどに仕事が取り変わっている業界も増えてきましたし、あながち間違っていないとは思います。ただ、危機感をあおるほど急激に衰退仕切ってしまうこともないかとは個人的に思いますが。
それでも不安になってしまうのは仕方ありません。そこで自身のキャリアプランを立てるときに参考になる理論をお伝えします。
計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)
僕が尊敬する心理学者にジョン・D・クランボルツ教授という人がいます。米スタンフォード大学のお偉い教授です。
このクランボルツ教授が1999年に提唱された、キャリア形成に関する理論に「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」があります。
「計画された偶発性理論」では、個人のキャリア形成をもっと幅広くとらえ、その8割が予期しない出来事や偶然の出会いによって決定されると考えます。重要なのは、その偶然を避けるのではなく、当人の主体性と努力によって最大限に活用すること。
出典:日本の人事部
簡単に説明すると計画的偶発性理論では、キャリアは偶然に左右されることが多く、変化をポジティブに捉えることでキャリアアップにつながると提唱されています。
計画的偶発性理論では5つの指針が重要しされています。
- 「好奇心」 ―― 興味関心をもつこと
- 「持続性」 ―― 飽きずに続けること
- 「柔軟性」 ―― 他人の意見も聞くこと
- 「楽観性」 ―― くよくよしすぎないこと
- 「冒険心」 ―― 失敗を恐れないこと
これらが偶然を味方につけるための5つの心構えとなります。もう少し詳しくみていきましょう。
偶然を味方につける5つの心構え
①好奇心
まずは「好奇心」です。自分の専門分野に閉じこもっていたり、最初から「私にはできない」と決めつけて何も行動しなければチャンスを逃す可能性があります。
たとえば友達に誘われたイベントで偶然良い出会いがあるかもしれません。また上司から「この仕事やってみて!」と専門外の仕事を任されて才能が開花することもあります。
これらは「面倒だな」「忙しいな」という感情を「ちょっと行ってみよう(やってみよう)」と好奇心が上回ったことでチャンスにつながるのです。日頃から「好奇心のアンテナをたえず張っておくこと」が大事です。
②持続性
好奇心をもって色々な出来事に取り組んだとしても「持続性」がなければキャリアアップにはつながりません。
どんなことにも失敗はつきものです。最初はうまくいかないこともあります。仕事ならなおさらです。そのときにすぐに諦めてしまえば、それまでです。
コツコツと努力を続けることが大事です。
③柔軟性
そして「柔軟性」です。柔軟性とは、こだわりすぎないということです。
あらかじめ決めた目標や計画、ルールにこだわりすぎるあまり、視野が狭くなりチャンスを逃すケースがあります。
「ちょっと違うけどな…やってみるか」という心構えを持つことで、与えられたチャンスをモノにできるでしょう。
④楽観性
人生を消極的に考えると、目の前のチャンスを逃してしまいます。計画的偶発性理論では「楽観的」なスタンスが人生を切り開くと言います。
確かに失敗が不安で何事もチャレンジできなければ問題です。「ダメでもともと、ちょっとやってみよう」という思考を持っておくほうが良い方向に導かれるのではないでしょうか。
⑤冒険心
最後「冒険心」です。誰だって「変わること」は恐ろしいものです。人間は変化よりも現状を維持することを望む心理作用(これを現状維持バイアスと言います)が働いて変化を恐れる傾向にあります。
チャレンジをするときには、一歩踏み出さなければ勇気が必要です。心の声に耳を傾けながらリスクを恐れず、何事にも飛び込んでいきましょう。
常に開かれた心(オープンマインド)を持つことが大事
計画的偶発性理論で大事なのはオープンマインドです。オープンマインドとは、あらゆる出来事に心を開いて物事を柔軟に捉えることです。
多くのキャリア理論が「明確な目標をもとう」と提唱しています。それが良い悪いという話ではありませんが、計画的偶発性理論で大事にされているのが「今」です。
一つの職業にこだわりすぎて視野が狭くなり、他の選択肢が見えなくなります。こだわりすぎずに、ざっくりと目標を持ち、今できることをコツコツ努力し続けるのです。
計画的偶発性理論が学べる本3冊
それではジョン・D・クランボルツ教授の計画的偶発性理論が学べるオススメ本を3冊ご紹介します。
その幸運は偶然ではないんです!
まずはジョン・D・クランボルツ教授とキャリア教育の専門家であるA・S・レヴィン氏の共著『その幸運は偶然ではないんです!』という本です。計画的偶発性理論を深く学びたいという人にとっては必読本ですね。
偶然をチャンスに変える生き方
そして「偶然をチャンスに変える生き方―最新キャリア心理学に学ぶ「幸運」を引き寄せる知恵」です。計画的偶発性理論が説明されているのはもちろんなのですが、随所随所に簡単なワークも記載されています。ワークを取り組めば、キャリアを見直すきっかけになるかと思います。
クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方
最後にご紹介するのが「クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方 」です。本書では有名人や芸能人の例が記載されています。とくにタモリさんの話は面白いですね。例え話が多くて親しみを持てるので、今回ご紹介した本のなかでは一番読みやすいかと思います。
今回はジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリア理論「計画的偶発性理論」について書きました。個人的にも好きな理論です。
日頃から「好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心」の5つの心構えを持ちながら仕事に励むとよいのではないでしょうか。偶然の出来事がチャンスになるかもしれません。
今日のクエスト~LevelUpポイント~
●偶然をチャンスに変えよう!
●オープンマインドでいることが大事!
●日頃から5つの心構えで仕事しよう!